日本産業カウンセラー協会 関西支部

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産業医療分野で痛感したこと、それはカウンセリングの重要性です
働く人の自己実現をサポートして、いきいきとした職場づくりに貢献したいと資格取得を決意しました

産業カウンセラーの資格を取る前から、私は産業医療分野で保健スタッフとして産業医の面談の補佐業務を行っていました。産業医というのは、事業場において労働者の健康管理などについて専門的な立場から指導や助言を行う医師のことをいいます。
産業医の職務は、具体的には衛生委員会への出席、職場の巡視、健康診断結果のチェックおよび健康指導。健康教育や健康相談。そして休職・復職面談。長時間労働の面接指導と多岐にわたります。さらに2015年の12月にストレスチェック制度が施行され、産業医はその実施者となり、高ストレス者の面接指導も行うことになりました。
私はつねづね労働者の心の不調に向き合うことの難しさを感じており、カウンセリングの重要性を痛感していました。いちから働く人のメンタルヘルスケアについて学びたいと思い、産業カウンセラーの資格を取ることを決意しました。2016年に産業カウンセラー養成講座を受講し資格を取り、今は健康管理センターのマネージャー、および産業カウンセラーとして産業医をサポートしています。

産業カウンセラーの勉強をする前にはわからなかったこと、それはクライエントのそばにただ寄り添い、
時間を共有することもカウンセリングの重要な役わりだということです

産業カウンセラーの勉強をはじめる前、私はあるAさんの復職面談に同席することがありました。Aさんは大手企業の係長で48歳・男性。まじめでやさしい方でしたが、心配症でまわりを気にされる方でした。彼は人事の部署に移動してから仕事を休みがちになり、心療内科でうつ状態と診断され休職していたそうです。
復職面談では産業医が面接を行い、時間短縮業務からの職場復帰をすることになりました。
さまざまな問いに、はきなくこたえる様子を見ているうち、私はこの人の心の痛みはまだこの人の中にあると感じていました。しかし、そのときの私にはこたえがでませんでした。
その後、Aさんに会う機会があり、話しをするうち「来月から、職場復帰です。よかったです」と彼は作り笑いをしたのです。私は「来月から職場復帰ですか。よかったですか」と返しました。すると、ふだん無口なAさんが、おもむろに「それが本当は…」と重たい口を開け、矢継ぎ早にいろいろな心の悩みを話しはじめてくれたのです。やはり、職場復帰することが本当は不安でこわいことなどでした。

学びの中で、クライエントの心の中にあるこたえを、ひもといていく手伝いをすること。
それがカウンセラーだということがわかりました

そのとき、私はただ彼の話しを聴くだけでしたが、次の復職面談日。Aさんはすがすがしい表情で現れました。そして帰りぎわ私に「この前、話しを聴いてくれてありがとうございました。自分の中で何かふっきれたように思います」。
人は誰でも自分の中に自己解決する力、生きる力を持っており、その力をうまく使いこなすこと、それこそが、唯一、幸せになれる方法なのだとこのとき思いました。
養成講座で学ぶ前までは、カウンセリングでは、悩みや問題を解決してあげなくてはいけないと思っていたのですが、勉強をすすめるうちに、カウンセリングとはクライエント主体のものであり、こたえはクライエント自身が持っており、カウンセラーはただ寄り添い、傾聴し、クライエントの気づきをうながしてあげればよいということがわかり、めがさめました。
今まで仕事では、健康面のアドバイスや、問診程度の会話しかできず、ふがいなさを感じていましたが、産業カウンセラーの資格を取ってからは、産業医の面接の前に40分のカウンセリングを組み込み、私のみたてをもとに医師が面接を行う流れとなり、労働者のための真の面談ができていると感じています。

養成講座を受講したことで、自分のすべてをそのまま受け入れることができ
よりいっそう幸せを感じられるようになりました

メンタルヘルス対策上、産業カウンセラーは職場にはなくてはならない存在です。養成講座では、カウンセリングの理論だけでなく、産業カウンセラーならではの分野も学習します。
だからこそ、真に役立つ知識を得ることができたのだと思います。また、日本のストレス社会には、医師と産業カウンセラーが二人三脚で労働者の支援をする、そういう形が求められているように思います。
仕事以外にも養成講座を受講したことで、とても大きなものを得ました。それは、自分自身をみつめなおすことができたことです。自分のすべてをそのまま受け入れることができ、よりいっそう幸せを感じられるようになりました。
「一期一会」という言葉があるように、カウンセラー仲間とのつながりも大切にしてほしいと思います。カウンセラーには守秘義務があり孤独です。しかし同じ仲間なら、信頼関係もあり、話しを聴いてもらうことができます。私はこの講座を受講して、資格を得られただけでなく、そのためにした勉強、そして愛すべき仲間たちとのであいが大きな財産になっています。

第11回木村さんへ

第9回中川さんへ

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