私は今、求人情報誌や人材派遣、人材の紹介などを行う会社に勤務しています。この会社の中で私の大きな仕事は人事です。そして総務関係。人事や総務の具体的な仕事としては、責任者として、パートの方、正社員になる方の契約更新のときの面談です。
産業カウンセラーの勉強をする前までは、勤務時間の説明や仕事内容、休日の確認など、基本的な条件を確かめ、更新手続きをとるといった面談にすぎませんでした。
数年前、面談の相談窓口の責任者としての業務が加わり、そのときあらためて、ひとりひとりにきちんと向き合って面接を行う必要性があるのではと思いました。と同時に、人材派遣の仕事の分野で、企業に向けての研修を行っていく必要もあるのではないかと考えました。働き方が多様化する時代となり、メンタルヘルス研修の必要性が各企業の中で認識されてきたからです。
では、メンタルヘルスの研修をどのように行っていったらよいのか。その前に私自身、メンタルヘルスということがわかっていないことに気づき、研修活動につなげていくため、歴史と信頼性のる日本産業カウンセラー協会の協力を得ることにしました。
高齢化に伴い、人材派遣サービス事業において、特に医療福祉系の方が多いこともあり、介護事業に特化したメンタルヘルス研修、各種研修サービスを行う必要があるのではないかと考え、まずは、介護福祉士に対してメンタルヘルス研修を実施しました。
高齢者福祉施設や地域のサービス期間など、つねに人とかかわりのある仕事では、心身により多くの負担がかかり、メンタル面でのケアが特に必要とされます。従業員の精神状態が、ダイレクトに利用者に影響を与えてしまうといった理由からです。
依頼を受けた企業に対して、このメンタルヘルス研修は好評に終わったのですが、引き起こされる問題も複雑化している介護業界では、継続的なメンタルサポートが必須ではないかと思い、今の仕事を深めていくためには、私自身がきちんと働く人のケアを学ぶ必要があるという意欲がわき、2014年に産業カウンセラーの養成講座を受けることにしました。資格取得後、ますます、仕事場の環境改善やメンタルヘルスの向上に産業カウンセラーの力が期待される分野だと思うようになりました。
資格取得後、さらに現場で生かすカウンセリングの力や知識を身に着けようと、協会が主宰する講座を受けました。グループごとにテーマを選択し、全員で企画書を作成し発表するという連続講座でした。資料の引用についてなど細部にわたる内容を教えてもらい、その後の資料作成にも役に立っています。この時に作成したコミュニケーションの講義は今も利用しています。
企業人として組織の中にいると、与えられたものをどうしようか、といった頭でしかなかったことが、この講座を受けることによって、自ら何をしていかないといけないのかといった力を学ぶことができました。本当に、内容の濃い有意義なもので、この講座を受けてよかったと実感しています。
実際、企業人として、積極的に社会の環境を理解し、どういった研修が世の中に求められているのか、ということまで考えられるようになり、メンタルヘルス研修や、各種研修サービスの開発に役立っています。
私が産業カウンセラーの資格を持っているということもあり、外部の相談窓口として取り引きのある企業の従業員の方のカウンセリングをする機会がありました。
私自身、このカウンセリングをして非常によかったと感じたことは、まず、仕事をするうえで問題がおこったおき、相談する相手は上司になると思います。しかし、上司に相談したところで、何も解決にならないことが多いことでしょう。
そのため、産業カウンセラーは外部の相談窓口として、働く社員の相談に応じるとともに、職場全体の改善に関わっていくことが期待され、ますます必要になってくるのではないかということです。会社以外で、相談に乗ってもらえる人がいるというだけで、従業員の方々も安心して仕事ができ、離職率の低下を図ることにもなるからです。
私は企業や法人に向けての提案として、積極的に産業カウンセラーを外部の相談窓口として配置することを働きかけています。向こうから仕事はやってきません。カウンセラーから積極的に働きかけるためにも、待ちのカウンセリングから脱皮する必要があります。
産業カウンセラーとして学んだことを軸に、職場の環境づくりの提案など、ますます精力的に取り組んでいきたいと思っています。