「産業カウンセラーの資格を取ることが、私がめざす道に近づけるのでは…」
定年退職後の人生を考えているとき、メンタルヘルスの研修講師をしていた方から日本産業カウンセラー協会の養成講座の紹介を受け、瞬間的に感じたことです。
私は生命保険会社に30年間勤務し、それから関連会社に出向して約10年。計40年間、会社員として過ごしてきました。そして今から2年前に定年退職しています。生命保険会社では、主に個人保険の営業組織のマネジメントに携わり、関連会社では生命保険と少し離れ中堅中小企業の社員研修の仕事を行っていました。この仕事をしているうちに、私の中で漠然と定年後も研修講師の仕事や人材育成に関わる仕事ができたらという思いがめばえてきました。希望か夢のようなものを意識するようになりました。そしていよいよ定年退職が近づいたときに養成講座の紹介を受け、何となくめざしていた仕事に一歩近づけるような気がして思い切って受講しました。これが私と日本産業カウンセラー協会との出会いです。
14人の仲間と講師の方に支えられて、1年間、無事に通信講座を修了することができました。終了前、キャリアコンサルタント養成講座の案内に目がとまり、仲間と一緒にキャリアコンサルタントの講座に進みました。こうして産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの2つの資格を取得することになりました。
協会での学びの場で、私が一番影響を受けたこと。それは「傾聴」との出会いでした。かつての職場で傾聴ということをもっと意識して行動していたら、どんな職場、管理者になっていたのだろう。まさに傾聴の意義を身に染みて感じたのです。キャリアコンサルティングにおいても傾聴によってうながされる自己理解、仕事理解があるからこそキャリアの成長、発達につながるのだと実感しました。極端にいえば、さまざまな人材育成研修は傾聴につながるくらいの気持ちになりました。私は定年後の仕事として傾聴の意義を取り入れた研修がしたいと、それまで漠然としていた夢が具体的に自分の中で強くやりたいこと価値のあることになっていったのです。まさにキャリアの転機にキャリアアンカーを強く認識するようになりました。それから具体的に研修の講師をめざして協会の講師養成講座をはじめ、興味あるテーマの研修を優先して受講しました。
私にとって学びの場は新しい知識との出会いだけでなく、人との出会いはもちろん学びの対象をどんどん広げるきっかけとなりました。学びの場も協会の外に広がったのです。それは今「日本サーバント・リーダーシップ協会」、「中央職業能力開発協会」、「日本人材マネジメント協会」などの団体と関係し私の成長につながっています。さまざまな影響を受けながら退職して1年、昨年の4月に「傾聴」という2文字を入れて「傾聴共感研究所」という屋号で個人事業を立ち上げるにいたっています。
今、私は3つの環境で仕事をしています。ひとつは「傾聴共感研究所」の代表として研修講師の仕事です。駆け出しの講師ですが、リーダー育成と中高年のキャリア・シフトチェンジを主力コンテンツとして取り組んでいます。2つめは再就職支援会社でキャリアコンサルタントとして活動しています。これはセミナーでお会いした方からお声がけがあって始まった仕事であり、学びの場が直接仕事につながったケースです。3つめが日本産業カウンセラー協会のキャリアカウンセラー部の登録員としての活動です。主にキャリアコンサルタントの資格の更新講習の運営を手伝っています。
思えば2年前、私も進路説明会に参加していました。関心事は資格が仕事につながっていくのだろうか…、だったと思います。今だからいえるのかもしれませんが、資格を取ることによってすぐに人とのご縁、仕事へのご縁が生まれることにはならないかもしれません。しかし、あえていうなれば、積極的に学びの場に参加することで知識と人との出会いが広がり、さらに学びの対象も広がる。それがまた新しい出会いにつながる。このような好循環が学びにはあるということです。
ある先輩が次のようなことをおっしゃっていました。「資格は世界を広げるパスポートのようなものだ」。資格を取られたみなさんは産業カウンセラーとしてキャリアコンサルタントとして学びの場を広げる権利を持っています。その権利をどんどん行使して、新しい世界との出会いにつなげていってください。